【スタッフコラム】暮らしに寄り添う、というデザイン

暮らしをたのしくする、お菓子を届けたい。フェアリーケーキフェアでは、日々お客さまやものづくりに向き合うなかで、スタッフ一人ひとりが、それぞれ見ている景色があります。

このスタッフコラムでは、それぞれの視点で出会った風景や、さまざまな場所での体験を通して感じた「おいしさのまわりにあるもの」をご紹介します。

今回は、デザインを担当するスタッフの視点から、フィンランドでの体験をきっかけに見えてきた、ものづくりやデザインの考え方について綴ります。

 

「暮らしに寄り添う、というデザイン」

—— デザイン担当・森

アルヴァ・アアルトのものづくりを尋ねて

先日、フィンランド・ヘルシンキを訪れました。

私は大学生の頃からデザインの勉強を始め、この仕事に就いてからもいつか訪れてみたいと憧れのあった街が、北欧デザインの中心地の1つである「ヘルシンキ」です!

1日目は、フィンランドデザインを代表する建築家でデザイナーの“アルヴァ・アアルト”の足跡を辿るところからスタート。

アカデミア書店内にある「カフェ・アアルト」を訪れた後、アアルトの自邸とアトリエのガイドツアーに参加しました。

▲アカデミア書店、カフェ・アアルト

英語でのツアーだったので全てをしっかり理解するのは難しい場面もありましたが、家具や床は温かみを感じられる木材が多く使われている点や、日照時間の少ないフィンランドの気候に合わせて、天窓や大きな窓から日光を最大限に取り入れようとする工夫など、自然との調和と機能性を両立した「人の暮らしに寄り添う」デザインがあちこちに感じられました。

▲アアルト自邸

自邸やアトリエを見学するなかで、ところどころに「引き戸」や「すだれ」など日本の要素を取り入れた空間もあり、日本人としてどこか親しみを感じて、思わず嬉しくなった場面もありました。

 

ツアーのあとに訪れた、デザインミュージアムでは、フィンランドの代表的なデザイナーやブランドが紹介されている常設スペースも見学しました。

インテリアブランドの「Artek(アルテック)」はもちろん、日本でも馴染みのあるライフスタイルブランドの「marimekko(マリメッコ)」や、テーブルウェアブランドの「iitala(イッタラ)」「ARABIA(アラビア)」など、シンプルでありながらもどこか手仕事の温かみを感じることができる、フィンランドデザインならではの魅力を再確認することができました。

▲時代を超えて世界中の人に愛されるフィンランドブランド

 

ヘルシンキの公共空間が教えてくれたこと

- 暮らしにひらかれた “図書館 Oodi”という場所

ヘルシンキの街を歩いていて、一番印象的だったのは、市民のための空間・施設がすごく充実しているという点です。

日本では“図書館=静かに過ごす場所”というイメージがありますが、ヘルシンキ中央図書館「Oodi(オーディ)」は、活気がありながらも、ゆったり落ち着ける「市民の憩いの場」になっており、老若男女が思い思いの時間を過ごすことができる、まるで“大学のキャンパス”のような空間でした。

単に本を読むだけの場所ではなく、小さい子供たちのプレイスペースもあり、大型プリンターや3Dプリンター、音楽スタジオ、キッチンスペース、ミーティングルームなどが市民は無料で使用できるのです!

外観の有機的なデザインの美しさも印象的ですが、それ以上に市民のクリエイティブを自由に育ててくれる、本当に魅力的な場所だなと思いました。

▲Oodi館内で自由に使えるプリンターやフリーデスク

また、施設内のサインはどれも視認性が高く、シンプルで明確。
これは私の個人的な印象ですが、後日訪れたフランスと比べても、フィンランドの街中ではサインや電車・駅の案内、商品パッケージなどにサンセリフ体のフォントが多く使われているように感じました。

モダンでフラットなグラフィックを多用するフィンランドのデザインと、サンセリフ体の素直でクセのない形は相性がとても良く、結果としてすっきりとまとまって見えるのだと思います。

こうした「見やすさとシンプルさ」が、北欧デザインの美しさを感じる理由のひとつなのかもしれません!

▲Oodi 館内サイン

 

旅先で触れた、静かで豊かなフィンランドの日常

- フィンランドの食卓で出会った、はじめての味

人生で初めて、トナカイのソテーをいただきました。
ジビエ独特の臭みなどは全くなく、赤身なのにとても柔らかく濃厚な味わいに驚き、フィンランド料理の奥深さを知ることができました。

▲フィンランドの郷土料理を楽しめる「Lappi Ravintola(ラッピ ラヴィントラ)」のトナカイのソテー

 

- コーヒーとシナモンロール、日常のひととき

▲1832年創業の老舗カフェ「Ekberg」での朝食

フィンランドはコーヒーの一人当たりの消費量が世界トップクラスといわれており、街のいたる所にコーヒーが身近にあります。

1832年創業の歴史あるカフェ「Ekberg(エクベリ)」をはじめ様々なカフェを巡り、コーヒーとともに楽しんだのがシナモンロールです。甘さ控えめで、カルダモンの香りが効いているフィンランドのシナモンロールは、コーヒーとの相性も抜群。実はシナモンが少し苦手でしたが、ぺろっと1つ食べ切れてしまうくらい、本当に美味しかったです!

 

- サウナで感じた、“整う”という時間

バルト海を望む公衆サウナ施設「Löyly Helsinki(ロウリュ・ヘルシンキ)」を訪れました。フィンランド文化の代名詞とも言えるサウナ。ここで過ごした時間は、心も体もすっきり整う、とても特別なひとときでした。

サウナ内では、お酒を片手にわいわいと賑やかに楽しむ老若男女の姿があり、サウナは単なるリラクゼーションではなく、人と人が自然につながる“社交の場”なのだと実感しました

▲現代的な建築デザインのサウナ施設「Löyly Helsinki」

2日目は、フィンランドの人々の暮らしに寄り添った食や文化に触れることができ、まるでフィンランドの人たちの生活を少しだけ体験させてもらったような感覚になりました。

 

フィンランドの暮らしから考える、私たちのものづくり

 - 「日々の暮らしに寄り添う」ものづくり・デザインであること

フェアリーケーキフェアのお菓子はお客さまの心や日々の暮らしを少しだけ豊かにします。
フィンランドのデザインの定義も同じく日々の暮らしを豊かにするものです。

今回ヘルシンキでの体験を通じて、私たちが目指すべき“ものづくりの考え方”を再認識することができました。 

単に見た目がかわいらしいだけでなく、お客さまの暮らしに自然に溶け込み、心地よさや使いやすさを提供するお菓子やパッケージデザインを心がけること。

フィンランドで感じた「シンプルでありながらクラフト感のある温かみ」「人の生活を豊かにする」というものづくりの考え方を、日々の業務(パッケージデザインや店づくり)に落とし込み、フェアリケーキフェアの商品を通じて、お客さまの日常を少しでも豊かにすることに貢献していけたらと思います。

おいしさのまわりにあるもの

暮らしに溶け込む、というお菓子のつくり方

いかがでしたでしょうか。フェアリーケーキフェアのデザインは、目に留まる「かわいさ」だけでなく、暮らしの中に置いたときの心地よさを大切にしています。

毎日の生活するなかで、ふと目に入ったとき、手に取ったとき。フェアリーケーキフェアの暮らしをたのしくするお菓子のデザインが、そっと寄り添えたら嬉しいです。

 

これから「お菓子のたのしさ」をより広げていくために、お店やお菓子について感じたことがあれば、ご意見をお寄せいただけましたら幸いです。

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#スタッフコラム

 

※本記事は、フェアリーケーキフェアのデザイン担当スタッフの視点をもとに、編集部が構成しました。